宗玄 石川門 ひやおろし 純米酒 1.8L

　奥能登を旅された方なら、「宗玄」の名前を一度はお聞きになった事があるでしょう。石川県には数々の銘酒がありますが、特にこの「宗玄」は奥能登の地酒として地元の方の晩酌酒として昔から愛されてきました。
　令和6年1月1日、能登半島をマグニチュード7.6の大地震が襲いました。「宗玄」は珠洲市に蔵を構えますのでその影響は計り知れないものとなり、2つある仕込み蔵のうち、1つが倒壊するという大被害をうけました。しかし、蔵人さんたちの懸命の努力でこの「ひやおろし」を届けてくださいました。本当に頭が下がります。

　立香は穏やかな熟したリンゴ系の果実香、和菓子の工房で感じられるあの甘い香り、甘草、杉の木など穏やか中にも様々な香りが楽しめます。含み香は比較的豊か。ふっくらとした果実の香りと米麹のような甘い香りが楽しめます。
　口当たりは芳醇で柔らかな膨らみが好印象。荒さは無く、角の取れたアタックで、スルリと舌を滑ります。ひやおろしならではのまったりとした口当たりが楽しめます。
　味わいは柔らかな真綿のような優しい旨味を感じた後、芳醇で熟成感のある練れた甘味がそれに続きます。風味が柔らかく広がり、充分なコクを出しながらも、石川門の持つシャープな輪郭とテクスチャーを楽しむ事ができます。

　後口は甘酸っぱい酸味がスパッと酒を切ってくれます。その酸味も非常に練れており、酸味自体に味わいがあるかのようです。余韻も程々に長く、酒だけでも十分楽しめる味わいとなっております。
　この酒は15℃くらいに冷やしても美味しく、また常温で飲んでも、40℃くらいのぬる燗にしても、それぞれの温度でその良さを発揮してくれます。飲む器はグラスではなく陶器などの土ものがしっくり来ました。能登の郷土料理、丸干し烏賊や能登の魚醤「いしり」を使った料理などと合わせて下さい。