本当に「酒を造るために神様が与えてくれた土地」と思えててくる六日町の豊かな自然の中にこの酒蔵は存在します。蔵は仕込の時期、雪に完全に覆われます。雪は仕込蔵にゴミのないクリーンな環境をもたらします。そして、その雪どけ水が日本銘水百撰に選定された「雷電様の清水」となって湧きだし、仕込み水となります。

　典型的な淡麗辛口の酒を醸されており、普通酒から大吟醸に至るまで「飲み口の端正さ、爽やかさ」は共通しています。まさに「雷電様の清水」を連想させる口当たりの良さです。
　
　私がこの酒蔵さんの素晴らしいなと思うところは、大吟醸造りでつちかった技術を、他の酒にちゃんとフィードバックされているところです。思いはあっても、実現している酒蔵はあまり無いんですよネ。それだけ難しい技術だと思います。

　特に普通酒のレベルの高さ（特に口当たりの上品さ）は特筆ものですし、本醸造も吟醸酒と間違うほどの実力です。特撰吟醸、純米吟醸も香りを押さえた（この辺がシブイ！）新潟吟醸の典型のような酒です。

　そして大吟醸。香りの高さを上手く落ち着かせ、穏やかな味わいを大切にした、「さすが八海山！」といえる酒です。また「越後で候」しぼりたて生原酒シリーズも、軽い飲み口の中にもトロリとした旨さがあり、いっきに人気商品になりました。

　平成１５年の暮れには純米大吟醸「金剛心」を発売。その前向きな造りの姿勢はとどまるところを知りません。高級酒専用の蔵も増設。現在の地位に甘んじることなく、ますます進化する「八海山」。今後もその進化を見守りたいと思います。