- 新澤酒造
- 宮城県
あたごのまつ 特別純米酒 720ml
宮城県大崎市に蔵を構える新澤醸造店は、「伯楽星」「飛龍」の銘柄で全国にその名を轟かせる実力蔵です。その中でも「あたごのまつ」は、より地元に根差したブランド。もちろん品質への妥協は一切ない、まさに“蔵の哲学”が息づくラインです。
この「あたごのまつ 特別純米酒」は、“究極の食中酒”をコンセプトに掲げる蔵のスタイルがしっかりと体現された1本。純米酒の王道とも言える味わいの中に、現代的な軽快さとキレを両立させた素晴らしい酒です。
香り穏やかなナチュラル感を感じさせるもの。白桃や洋梨を連想させる、ふんわりと優しい果実香が広がります。含香も過度な香りではなく、料理を引き立てるための“引き算の美学”が感じられる印象です。
口当たりは驚くほどなめらかでスムーズ。雪解け水を思わせる、サラリとした軽快な舌滑り。純米らしい膨らみをみせつつも端正で角の取れたアタックです。
味わいは、ふっくらとした米の旨味を感じさせながらも雑味がなく、キラキラした透明感のある味わい。中間から後半にかけて駆け抜ける珠玉のような味わいはこの酒のレベルの高さを物語っています。後口はスッキリとした軽快のある辛口。程よい酸とミネラル感があります。余韻は短めですが、それがまた次の一口を誘います。
飲み頃温度はあ8~12℃。すっきりとしたキレ、香りの繊細さが際立ちます。またぬる燗(40〜45℃)にしても、フワッとした旨味がふくらみ、コクのある料理とも好相性です。
合わせる料理は多彩です。このお酒の最大の魅力は、なんといっても“食中酒”としての完成度の高さ。どんな料理にも寄り添う懐の深さがありますが、特に白身魚の刺身・昆布締め、鮎や鰆の塩焼き、だし巻き卵や湯豆腐、鶏の塩焼きなどはベストマッチ。
「特別純米酒」というカテゴリながら、まるで吟醸酒のような透明感を持ち、冷やして良し、ぬる燗で旨味がふくらむ柔軟なポテンシャルを備えた、万能タイプの1本。派手さこそありませんが、その分、料理にそっと寄り添ってくれる“縁の下の力持ち”的な存在です。酒単体で飲むというよりは、食事とともに味わっていただくことで、その真価が発揮される、まさに“飲まれて完成する酒”です。