黒龍　山田錦　純米大吟醸　1.8L

黒龍から季節限定で出荷される「酒米別純米大吟醸シリーズ」。この酒はその山田錦バージョンです。厳選した山田錦を50％にまで磨き、秋までゆっくりと熟成させた後、満を持してリリースされました。「静かな気品」と「奥ゆかしい旨み」を感じる素晴らしい酒に仕上がっています。 

立香は穏やかな白桃や洋ナシを思わせるフルーティな香り。グラスに注いだ瞬間にふわりと立ちのぼる熟した果実の香りは主張しすぎない奥ゆかさを感じさせます。含香も落ち着いたメロンや白ブドウのような果実香が楽しめます。全体的に黒龍らしい派手さよりも「しっとりとした美しさ」が印象的です。 

口当たりでまず驚くのはその滑らかさ。まるでシルクのようにスッと舌に寄り添い、次の瞬間には米の旨味がふくらんでいきます。 

味わいは山田錦ならではのふくよかなコクと、黒龍らしい雑味のなさが絶妙に調和しています。山田錦を用いた日本酒は星の数ほどありますが、この酒の味わいには黒龍のみが醸せる「気品」と「高いバランス感覚」が感じ取れます。 

後口はサラリと酒が切れ、甘み・酸味・旨みが三位一体となって、静かに消えていくその余韻はまさに“上質な透明感”と呼ぶにふさわしいフィニッシュ。思わず盃がすすみます。 

合わせるお料理は、やはり素材の味を大切にしたものがおすすめ。鯛や平目などの白身魚の刺身、湯葉や豆腐料理など、淡い旨味を持つ和食と抜群に相性が良いです。少し冷やしてキリッと飲めば、香りとキレが際立ち、ぬるめの温度帯（15℃前後）では、米の甘みとまろやかさが顔を出します。季節によって温度を変えて楽しむのも、このお酒の醍醐味です。 

黒龍の酒は“派手ではないが、深く心に残る”と言われます。この「山田錦」もまさにその代表格。派手な吟醸香に頼らず、飲むほどに蔵の誠実さが伝わる味わい。飲み飽きせず、食中にも寄り添い、贈り物にも喜ばれる万能な一本。ぜひ秋の夜長の友として、じっくりと向き合ってください。