- 油長酒造
- 奈良県
風の森 未来予想酒Ⅲ -時の重なり三重奏- 720ml
一昨年の2023年に「風の森」が25周年を記念して、これからの日本酒造りを見据えた“未来予想酒”シリーズを世に送り出しました。
第1弾は「未来予想酒Ⅰ-5種の微生物-」。多様な微生物たちが再び日本酒造りの舞台に戻ることで、より奥行きのある、生命力あふれる味わいの時代が来る——そんな未来を描いた一本でした。
続く第2弾「未来予想酒Ⅱ-高温発酵の世界-」では、これまで風の森が培ってきた低温発酵に、あえて高温発酵を一部取り入れ、“大地のエネルギー”をより力強く表現する挑戦。まさに風の森が次のステージへ進む一歩を感じさせる作品でした。
そして今年2025年、その三部作の最後を飾るのがこの酒です。これまでの油長酒造の歩み、そして奈良の酒造りの歴史を丁寧に重ね合わせました。蔵元曰く新感覚の一本ということです。
今回のテーマは「時の重なり」。
3つの特別な要素を、蔵の知恵と技でひとつの酒に織り込みました。
まず一つ目は、酒母を“甕仕込み”で行う「水端(みずはな)」の手法。創業期の享保蔵で使われていた甕を用い、室町時代の寺院醸造の技を現代に蘇らせています。
二つ目めは、かつて油長酒造が造った10年以上のオーク樽熟成米焼酎「火の鳥」をなんと発酵の途中に投入!
そして三つめは、風の森以前から続く伝統銘柄「鷹長(たかちょう)」の10年古酒。長い年月を経て円熟した鷹長の深みが、酒に静かな重厚さをもたらしています。
この「三重奏」によって生まれた酒は、奈良の歴史と風の森の革新が見事に響き合う、唯一無二の世界。
グラスを傾けると、オーク樽由来のバニラ香、そこに重なるように吟醸香やバナナ香がふわりと立ち上がります。ふくよかで、円やかな味わいと比較的若々しい酸のおりなす味わいは、これからの日本酒の姿を示唆しています。アルコール度数は19%としっかりしていますが、後味はあくまで風の森らしく、透明感のあるフィニッシュ。
熟成させても、開けたてでも、それぞれに新しい発見がある。。。。そんな「時とともに進化する風の森」を、ぜひじっくりとお楽しみください。