東洋美人 純米吟醸 羽州誉 醇道一途 1.8L

　この酒は「羽州誉」という貴重な酒米が原料です。「羽州誉」とは山形県の「十四代」高木酒造の故高木辰五郎氏が美山錦と玉龍F10 を交配して育種した酒造好適米です。現在この酒米を使うの事を許されているのは「十四代」に認められた全国でも限られた蔵元のみ。その一つが「東洋美人」です。澄川杜氏曰く「難しいけど挑戦しがいのある米」です。

　立香は熟したメロン、マシュマロ、黄桃の香りがほのかに香ります。華やかというよりもシットリとした落ち着きがあり、うるさくありません。しかし、しっかりとした香りの芯があり、存在感を感じます。含み香も落ち着いており、メロン系の香りが優しく抜けていく印象です。

　アタックはふっくらとした膨らみを感じさせながらもサラリと舌を滑っていきます。綺麗にまとまっており、飲みやすいです。熟成由来の優しい口当たりです。
　味わいは透明感のある芳醇な旨味。東洋美人の中では比較的味に太さがあり、まろやかな辛口を感じさせる味わい。無理に味を出そうとせずにモロミの発酵を静かに見守ったかの様な素直な味の出し方を感じます。まさに理想的な味わいです。

　後口はジワリと舌に染みこむまろやかな旨味が素晴らしいです。また酸味の存在感があり、スパッと切れた後はキラキラした酸味が余韻を確かなものとさせています。このあたりが、「東洋美人の羽州誉」なのかもしれませんね。

　この酒は、ぜひ食中酒として飲んでいただきたいと思います。上質な酸味があるので、食の旨さを引き立ててくれるのです。魚なら赤身の刺身。また鯉の煮付けのような味が染みこんだもの。赤味噌を使った塩気のある料理にも合います。この酒の酸味と赤味噌の酸味が見事にマッチするのです。薄味のおでんを作り、食べる時にほんの少し赤味噌を添えたものとこの酒の相性は最高でした！