松の司　純米大吟醸　AZOLLA 50 1.8L

　「AZOLLA(アゾラ)」とは、田んぼに発生する浮草の事です。これは、無化学肥料にて栽培される田んぼによく発生します。この水草が田んぼ一面を覆うことで雑草の光合成が出来なくなり、その結果、農薬（除草剤）に頼らなくても雑草の育成を抑える事が出来るのです。「AZOLLA(アゾラ)」は無農薬田の象徴です。
　無化学肥料にて栽培された山田錦は見掛け精米率に対して真精米率が高く歩留りが上昇します。その結果、できた酒は味わいがあり大変キレがよく、安定感が出ます。そして何よりも味わいに「優しさ」が出るそうです。
　竜王町の自然をよりナチュラルに、ダイレクトに表現したいという蔵の熱い思いから、その無農薬・山田錦を50％にまで精米。酒母に「生もと」を採用し、蔵付きの天然乳酸菌を活用しました。

　香りは穏やかながらも、しっかりとした存在感があります。落ち着いたリンゴの香りを主体に、かすかに綿菓子の様な甘い香り、ヨーグルトのような乳酸の風味も感じます。速醸の酒母よりもより複雑な香りが楽しめます。

　口当たりは端正、上品、高級感があります。なめらかで軽快。大地のパワーを思わせるダイナミックな芳醇さも感じさせますが、やはり純米大吟醸ならではの滑らかさが際立ちます。

　味わいは最初に芳醇な旨味を感じ、さらにあとから、素直な甘味が追従します。最後に「ジワリと舌に染み込む旨味」が感じ取られ、フィニッシュに向かいます。
　後口は、リンゴのような余韻から、生もとならではの乳酸のテイストが感じ取られます。リンゴのヨーグルト和えのようです。この乳酸のテイストでフロマージュと合わせる方も多いとか。日本酒ファンはもちろん、そのコンセプトが似ている事からナチュラルワインファンの方にも興味を示していただける酒だと思います。

　今後も「AZOLLA」は竜王町の風土をより具体的に表現することをテーマに醸されます。脱穀された山田錦の藁は地元の畜産業者に渡り、近江牛の飼料として活用されます。その藁で育った近江牛を地元のレストランで松の司とペアリングするという取り組みはまさに農の循環ですね。さまざまな要素がたくさん詰まったお酒です。それらのストーリーを感じながらぜひお楽しみください。