- 油長酒造
- 奈良県
鷹長(風の森) 「出品酒」 純米大吟醸 720ml
■「鷹長(たかちょう)」とは「風の森」の元ブランド
油長酒造は奈良県御所市の葛城金剛山系の麓に蔵を構えます。もともとは精油業としての操業でしたが、1791年に酒造業に転身。以来300年以上の歴史をほこる名門です。社名の「油長」は、元々精油業を営んでいた「油屋長兵衛」に由来します。
「風の森」ブランドは1998年に同社が立ち上げました。無濾過・無加水・生酒の専門ブランドで、四季醸造により刻一刻と状態が変わる生酒を「蕾」の状態で出荷し今や大人気の酒となりました。
この酒は、そんな「風の森」が24年ぶりに出品を決意した酒。
全国新酒鑑評会では香りが華やかでグルコース量の多い酒が評価される傾向にあり、「風の森」が基本としている7号酵母の特性では、酸がしっかりと出て、カプロン酸エチルという華やかな香り成分が少ないため、一般的に金賞には非常に不利な条件です。
しかし、風の森が長年にわたって拘り続けてきた7号酵母で、『これまで培ってきた、超硬水による長期低温発酵といった当蔵の酒造りが、どのように評価されるのか挑戦したい』という蔵の想いから、この度の出品に至りました。
立香は透明感があり、みずみずしい白ブドウやピチピチした苺を思わせるナチュラルなもの。出品酒によくある、ネットリとしたトロピカルフルーツの香りとは対極です。
口当たりはフレッシュでサラリとしたアタック。軽快でスムーズ印象。ボリュームを感じるアタックとなっています。
味わいはふっくらとした旨味を最初に感じ、その次にジューシーな甘味が続きます。そして、しっかりした甘酸っぱい酸味が全体を見事まとめ上げています。後口においても甘酸っぱい酸味が見事に酒を切ってくれます。アフターには木なりの黄色い果実を思わせる、ジューシーな余韻を感じさせてフィニッシュへと誘います。
令和の時代になり、蔵の個性がより重要視されるようになり、基準に即した酒造りを止める蔵が多くなりました。風の森もその中の一つ。出品酒で技術を磨き、それが市販酒にフィードバックされ、さらに美味しさが昇華することを楽しみにしています。